当日です
「ノーメイクで」と言われたので、基礎化粧だけでファンデーションの下地も塗らず、眉も描かずにホテルを出発しました。
わたしはタクシーで行きましたが、自宅から電車で来る人はどうするんだろう?
薄化粧で行って、その場でささっと落とせば大丈夫だと思いますが・・・。
10時すぎに来館
当日の朝赤坂プリンスホテルからタクシーに乗って明治記念館へ向かいました。
美容室には11:00までに入ればよかったので、もう少し遅くても良かったのですが、わたしの両親や親戚が早めに到着するというので、10:30前には明治記念館に着いてしまいました。
当日は土曜日と大安が重なっていたので、明治記念館では42組の披露宴があるということで、館内もにぎやかでした。
披露宴で使用する荷物があったので、フロントに預けたのですが、忙しいようで、ずっとカウンターに置いたままでした。(大丈夫かなぁ・・・)
しばらくロビーで待っていると、わたしの両親や親戚が到着しました。
親族控室が使えるようになるのは12:30からなので、もう1本遅い新幹線でよかったのにと思ったのですが、母親の着付時間に合わせてみんな一緒にやってきました。
母親が「きょう○○○(実家のある地名)の××さん(男性です)が明治記念館で結婚式やるって言ってたけど・・・」
そう言われて案内掲示板を見ると見覚えのある名前がありました。
わたしが小学校1年のときの6年生だったはずだから、5つ年上の人だったので名前を知っているだけですが、家の場所も知っているので同じ日に同じ会場で結婚式を行なうなんて、なんという偶然だろうと驚かずにはいられませんでした。
ひょっとしたらフェアや打ち合わせですれ違っていたかもしれません。
世の中はせまい。
10時50分ころ、美容室へ移動
お婿さまの母親とお嫁さまの母親、そしてお嫁さまの3人は美容室に入りました。
その後、ほかの方たちは何をして時間をつぶしたのか疑問です。
ダンナもお婿さまに変身するため30分後には着付室に入ったでしょうから。
55周年記念のパネル展示をしていたので、それを見ていたのかもしれません。
美容室にて
美容室の受付で挙式時間と名前を告げました。
「おめでとうございます」といわれ、「ありがとうございます。よろしくお願いします」とご挨拶をして、2人の母親よりひと足先に美容室の畳の部屋へ。
美容室に入って、すぐに着替えではありません。
自分の持ってきた荷物、及び予約した衣裳をスタッフの方といっしょに丁寧に確認します。
ここで一度気持ちを落ち着けることができました。
ブーケやアクセサリーなどの小物も確認します。
美容室に入るとき、ブーケがまだ届いていませんでしたが、何時くらいに届くか聞いていたので、そのことを伝えました。
貴重品は、挙式・披露宴に必要のない荷物といっしょに美容室内にあるロッカーで保管してもらいます。
そのときに、目薬やコンタクトレンズのケア用品、予備のストッキング、生理用品などは取り出しておきます。
その荷物は、美容室の中ではスタッフの方、外では介添人が持っていて下さるので、適当な大きさの手提げ袋や巾着を用意してまとめておくと便利です。
お化粧(水化粧)をします
荷物の確認も済んで、着替えをします。
和装からなので、着ていた洋服を脱いで、ブラジャーも外して、素肌の上に持ってきたバスローブ(または化粧用ゆかた)を羽織ります。
脱いだ洋服はスタッフの方がきちんとたたんでバックの中に手際よくしまってくださいました。
ストッキングの上から足袋をはき(和装から洋装にすぐに着替えられるように)、鏡の前に着席。
「本日はおめでとうございます」(必ず最初に言われます)
「ありがとうございます。本日はよろしくお願いします」(必ずこう答えていました)
芯のしっかりして量の多いお嫁さまの髪の毛を、手際よく束ね、その上からネットを二重にかぶせて、生え際部分を紫のゴムバンドでひと巻きしてかつら下ができました。(歌舞伎役者みたい)
その後、蒸しタオルで首・背中・両腕・両手・デコルテ部分を丁寧に拭きます。
拭き終わると、下地を作って白塗りです。
白粉を水で溶いたもの(水白粉)を板刷毛で塗るというよりは、刷り込んでいくという感じです。
冷たいけど刷毛がくすぐったかったです。
刷毛で塗ったあとはスポンジでたたいてなじませ、粉をはたきます。
これを背中・首・両手・顔に行います。
目元は白粉にピンク色の砥粉(トノコ)を加えたもので色を加えます。
アイラインを入れ、眉をかいて目元は完了です。(まつげはビューラーでまいてマスカラをつけたかな?わすれてしまいました)
紅を唇にたっぷりとさします。
当日、口元と眉の上に1ヶ所ずつ「にきび」ができてしまいました。
口元のニキビは赤くなっていて、普通にファンデーションだけでは消せないし、眉のニキビは眉尻にできていて、これは腫れている程度。アイブローペンシルを強くあてると痛いです。
朝、起きて鏡を見てブルーになっていたのですが、口元のにきびはコンシーラーとファンデーションで赤みはすっかりわからなくなりましたし、眉はスタッフの方が「痛くないですか」と聞きながら、やさしく描いてくれたので大丈夫でした。
肌はバッチリだったのに、ニキビが・・・。
完璧にはいかないものです。
かつらとかんざし
お化粧が終わったところで、一度お手洗いに行きました。
美容室の中にトイレがあるので、舞台裏の歌舞伎役者の顔は見られることはありません。
しかも広い!パニエでたっぷりふくらんだドレスもトレーンの長いドレスもOKです。
頭に鬘(かつら)をつけます。
鬘(かつら)をつけてもらうまで、時間があってちょっと退屈してしまいました。(ほかのお嫁さまの掛替えがあったらしい・・・仕方ないです)
近くで見るとかつらは大きいです。
美容師さんがカポッとはめて、際(きわ)を丁寧に整えてくださり、櫛を使って毛並みを丁寧に直してくださいました。
はめた時はこれで終わりと思っていたのですが、美容師さんが髪の毛の流れを整えるとつやつやになってより一層キレイになりました。
手入れをしているときに美容師さんが「よかったですね。今日はふつうの鬘がなかったのか、こちらの軽い鬘で。お値段は予約されたカツラの金額ですよ」とおっしゃいました。
ラッキー!
けれど、かつら合わせのときに試着したかつらの重さをすっかり忘れていたので、軽いという実感はありませんでした。
髪の毛を整えたあと、簪(かんざし)をさしていきます。
この簪(かんざし)は「前ざし(前かんざし)・櫛・花こうがい(中ざし)・うしろざし」のセットになっています。
かんざし 雅わたしが選んだのはべっ甲の「雅(みやび)」と呼ばれる現代風の簪(かんざし)です。
花こうがいとうしろざしは、さしたら終わりと言う訳ではなく、黒色のテグスか元結か髪の毛のようなもので固定します。
前ざしと櫛はさすだけです。
かんざしをさすとすてきですね。
これで首から上は花嫁になりました。
あとは花嫁衣裳だけです。
ブーケとブートニアが届く
再び畳の部屋に移動して、裾除けをつけて、バスローブを脱ぎながら肌襦袢をつけました。
ひとりの方が肌襦袢を整え、綿(わた)で補正をしている間に、もうひとりの方が長襦袢の半襟(広襟)に半紙を入れていました。
ひとりの方が後ろの襟があがらないように押さえながら、もうひとりの方が長襦袢を腰紐で固定していきました。
最後に伊達締めを締めるとこれで長襦袢の着付けは完了です。
わたしは、色鮮やかな伊達締めを持参したので、白の長襦袢には派手でした。(隠れるから関係ないけど)
着付けをしているときに生花のブーケ・ブートニアが届き、美容室の中が騒がしくなりました。
ブーケを持ってきたスタッフの方が「ブーケはこちらでよろしいですか?」と聞いてきたので、「はい」と答えたのですが、今日初めて見るので心の中で「たぶん・・・そうだよね。白バラだったし」と思っていました。
できあがったブーケはキャスケードというよりティアドロップに近い形でした。
同い年くらいの美容師さんに「スズランが入ってましたね。今の時期にスズランなんて、ひょっとして金持ち?」と冗談半分に言われました。
わたしも「すずらん」は予想外だったので笑って流しました。
鏡で自分の後ろの様子が少し見えたのですが、スタッフの方々がそのブーケを囲んで盛り上がっていました。
結婚式当日は11月30日、明日から12月だというのに、3月~5月くらいに出まわる「スズラン」がブーケのあちこちに入っていて、ブートニアは100%スズランなのだから、多くの花嫁の支度をお手伝いしてきたスタッフの方々が驚くのはあたりまえです。
あとで聞いたのですが、当日の朝、スズランが手に入ったので加えたということ。
しかもブーケは徹夜で作ってくださったそうです。
うれしい限りです。
すずらん(鈴蘭)の花ことばは「幸せの再来・純愛・無意識の美」だそうな。
花嫁になるためには腰に力をいれないと!
掛下を着付けていきます。
振袖や訪問着などを着付けてもらったことはありましたが、その比ではありません。
腰紐を何ヶ所かに結んでいくのですが、そのうちの2本はきっちりしめるので、しっかりふんばっていないとよろけて倒れてしまいます。
通常、胸の下から腰の部分に腰紐が結ばれますが、このときは脇から胸の上にも腰紐が1本しめられていてこれでかなり身動きがとれなくなりました。(腕があがらなくなります)
掛下帯は文庫の形に結ばれます。
鬘(かつら)・簪(かんざし)をアタマにのせているときに倒れたら・・・と考えるとコワかったので、足の親指に力をいれてがんばって立っていました。
丸ぐけ(帯締め)を結び、抱え帯を結んで、帯揚げや細かい部分をあちこち手直しして、掛下までの着付までできあがりました。
あとは打掛を羽織るだけです。
白無垢だと思ったら色打掛でした。
「えっ?白無垢のハズなのに」と思ったのですが、スタジオで写真撮影を行なってから白無垢に掛替えるので、色打掛が先なのです。
懐剣・箱迫(はこせこ)・末広を身につけて、できあがりました。
「気になるところはありませんか?」と聞かれ、下唇の口紅のラインが左右非対称でふくらみ方が違うので直してもらいました。
そのときに歯についた紅はなめて溶かしてと言われました。
「決して指で拭き取らないように。指についたら衣裳にもついてしまいますから」
歯並びが悪いので前歯につきやすくて、せっかく歯を磨いてきてもなめて溶かしても、うっすら紅色が残ってしまいました。
もう一度歯を磨きたかった・・・ガムを噛んでいたら取れやすかったかしら?
新郎と介添係と合流
写真スタジオへ支度が終わって美容室前の廊下に出ると、すでに着替えの終わったお婿さまと介添係の方が待っていました。
お婿さまはお嫁さまの色打掛姿に驚いたようです。
別のホテルのブライダルフェアで鬘もつけて打掛を羽織ったことはあるけれど、ちゃんとすると違うもんねぇ。
お婿さまも体格がいいので、紋服はばっちり決まっていました。
がんばるぞ!
和装の写真撮影のため、儀式殿の隣にある写真スタジオへ向かいました。
途中で両親や親戚とすれ違い、ちょっと照れくさかったですが、周囲の視線を感じて誇らしいと言うか気分が良かったです。